大学教育・研究に関わる緊急報告(平成30年1月!)

 私は幾つかの学会に所属していますが、メインは電子情報通信学会です。
 大正時代に設立され、今年でちょうど100年の節目を迎えた会員数約3万5千人という我が国有数のマンモス学会です。平成29年に100周年記念事業が実施され、その一環として

「大正・昭和・平成に渡って成された偉業129件」

が公開されました。電子情報通信学会の創立100年目を迎えた記念すべき年を締めくくるべく、上記の偉業129件が12月号に公開されたのでした。
 表彰の対象となった大学研究者の偉業は計34件でした。100年間という長い期間に成された大学関係の研究が厳正にリストアップされていわば成績簿の形で公開されたのです。

   トップ10は表1の通りです。これに対し国等の研究機関はおよび民間企業の成し遂げた偉業は95件の多さでした。


私は情報理論に関する研究「ユークリッド復号法の発明」と暗号理論に関する研究「ペアリング暗号の提案と発展」の2件が偉業として認められました。

 この結果は、とても嬉しいことです。と申しますのも私は今まで沢山の人から

「あなたの専門は?」

と問われた時、

「1に情報理論、2に技術倫理、3に暗号理論の3つの分野における専門家です」

としっかり答えていましたが、殆どの場合3つの分野の専門家はありえないことというのが皆さんの反応でした。
 しかし、今回1と3の研究が大学関係の研究者の一世紀という長い期間で見た偉業34件の中に2件が認められましたので、3つの分野の専門家というのはあり得ることがしっかり証明できたと考えています。
 私にとって二番目に大切な専門分野「技術倫理」に関しては日本広く世界を見渡してもトップの研究者であることを客観的データで示すことができるでしょう。しかしこの技術倫理の分野は工学系学会では非常にマイナーな分野となっており、現状ではどうしようもありません。手の打ちようがありません。

 1の情報理論についての研究「ユークリッド復号法の発明」は米国研究者達に大きなインパクトを与え、米国電気電子学会(IEEE)が主催する国際会議で最も注目される話題となりました。

 ユークリッド復号法は、CD、DVDなどの音質を良くするために必須の技術として1990年頃から全世界で広く使用されました。残念ながら、日本の特許庁から”本特許申請内容は自然現象を利用したものに非ず”の一筆で拒絶されましたので、特許にはなっていません(苦笑)。

 他の暗号理論のテーマ「ペアリング暗号の提案と発展」はイギリス、ドイツ、フランス、イタリアなどのヨーロッパが注目してくれました。
 特に「ロンドン数学者協会」が編纂した教科書の中で絶賛してくれたことが非常に大きかったと思います。このペアリング暗号は2005年以降国際会議等でトップテーマであり続けています。

2件の偉業を成し遂げた研究者は過去1世紀の間に活躍した多数の大学研究者の中で数少ないでしょう。私は、正直“えっ!本当!?”という感じです。“まさか!”という感じです。1世紀という長い期間に電子情報通信工学(電気工学科が源流)の研究に携わった研究者は少なくとも長い歴史を誇る東京工業大学、旧帝国大学である7つの大学のそれぞれの教授、助教授、講師という地位にあった研究者が少なくとも数百名は在籍されたことでしょう。これらの大学がたった1件あるいはゼロ件の偉業というのはどういうことなのでしょう……。

 この疑問に対して幾つかの理由が考えられるでしょう、ここではその一つをあえて述べさせていただきたいと思います。

 幾つかの理由の一つは、多くの先生方が(私の目から見れば)遊んでいたということでしょう。
 私は本HPの第4章「大学生の就職氷河期は誰が招いたのか」で大学就職氷河期を招いたのはその前に長期間続いた大学就職天国時代における“ゴルフ漬け”にあるでしょう。
 私は2012年10月十分な根拠で勇気をふるってこのことを指摘しました。6年前のことです。

 このHPの記事を裏づける結果がしっかり今回の偉業129件の中に現れています。

 因みに私が在籍した大阪大学では4件の偉業が前述のように十分に厳正な審査によって認められました。
 基礎工学部に在籍した有本教授、嵩教授、そして工学部に在籍した尾崎教授と私(当時助教授)で4人とも黙々研究邁進型教育熱心型の先生です。有本教授は情報理論の分野での長年の畏友、親友であり、嵩教授は大先輩で数学の天才でした。尾崎教授はこわーい恩師です。
 勿論4人ともゴルフなど論外と考えていたことは間違いありません。

 ゴルフ漬けの先生方と教育研究に専念していた先生方の驚くべき差、“天”はしっかり答を返してくれています!

 こんな負の歴史をうやむやにしたままの大学教育の続行、大丈夫でしょうか?!
 負の歴史を心の底から反省してこそ、明るい大学の将来が見えてくるのではないでしょうか。

 もう一度本HP第4章をご覧になって過去はすべて精算されているか、考えて下さいませ。

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